低炭素建築物技術的審査

低炭素建築物認定制度

低炭素建築物認定制度の概要

 地球温暖化対策を推進するため、二酸化炭素の発生量が多い都市における低炭素化を早急に図ることを目的とする「都市の低炭素化の促進に関する法律」(以下、「法」といいます)が 平成24年9月5日に制定され、低炭素建築物新築等計画に係る認定制度が創設されました。
 この制度は、所管行政庁が、建築物の新築、増改築、修繕や模様替、空気調和設備等の設置や改修の計画が認定基準に適合すると判断したときは、その計画を認定するという制度です。

 計画の認定を受けようとするときは、国土交通省令で定められた低炭素化のための建築物新築等計画を作成して所管行政庁へ認定申請しなければなりません。
所管行政庁の円滑な認定業務の実施等のため、認定申請に先立ち、低炭素建築物新築等計画が認定基準に適合しているかどうかを登録住宅性能評価機関等が技術的審査を行うという運用がされています。
 この制度は長期優良住宅の認定制度と同様な手続きですが、長期優良住宅の認定基準は、長期にわたり良好な状態で使用できるよう耐久性、耐震性、省エネ性、維持保全の容易性などが 求められる一方、低炭素建築物の認定基準は、省エネルギー性に特化され、より高い省エネルギー性能が求められています。
計画の認定を受けると税制面で優遇されます。また、低炭素化のための設備(蓄電池、蓄熱槽等)は、通常の床面積を超える部分について容積率算定の緩和を受けられます。

認定のメリット

(1)税制の優遇

 平成24年度税制改正において、認定低炭素住宅のための住宅ローン減税や登録免許税等の特例措置が創設されました。

(2)容積率の緩和

 建築物全体で認定されますと、低炭素化に資する設備に係る床面積が容積率緩和の対象になります。
  他の設備と明確に区画された部分の床面積(専用室に設置する場合は当該室全体の面積)について、建築物の延べ床面積の一定割合を限度(延べ面積の1/20)して認められます。
 認定を受けないと建築確認審査での容積率緩和が認められませんのでご注意ください。

認定の対象

 認定の対象は、市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域のうち用途地域が定められている土地の区域における次のいずれかの計画です。(法第53条)

 【1】建築物の低炭素化に資する建築物の新築
 【2】低炭素化のための建築物の増築、改築、修繕若しくは模様替え
 【3】低炭素化のための建築物への空気調和設備、その他の政令で定める建築設備の設置
 【4】建築物に設けた空気調和設備等の改修 

認定の申請単位

 認定申請は、一戸建て住宅、共同住宅等(住棟)、非住宅、複合建築物の建築物全体で行います。
 複合建築物は、次のいずれかを選択できます。

 【1】建築物全体の認定申請
 【2】非住宅全体
 【3】住宅全体

認定基準

認定基準は、法第54条において次のように定められています。
一、当該申請に係る建築物のエネルギーの使用の効率性その他の性能が、エネルギーの使用の合理化に関する
  法律第73条第1項に規定する判断の基準を超え、 かつ、建築物に係るエネルギーの使用の合理化の一層の
  促進その他の建築物の低炭素化の促進のために誘導すべき経済産業大臣、国土交通大臣及び環境大臣が定める
  基準に適合するものであること。
二、低炭素建築物新築等計画に記載された事項が基本方針に照らして適切なものであること
三、前条第2項第3号の資金計画が低炭素化のための建築物の新築等を確実に遂行するため適切なものであること。
具体的には、下表のとおりです。
 
建物
区分
基準 基準の概要
住宅※1 エネルギーの
使用の
合理化の
一層の推進
外壁、
窓等を通しての
熱の損失の防止
(外皮性能基準)
  • 【1】地域区分に応じた
    外皮平均熱貫流率(平均UA値)
    及び冷房期の平均日射熱取得率
    (平均ηAC値)が
    基準値以下であること
  • 【2】室内に直接侵入する
    隙間風の防止のための
    気密性を確保すること
  • 【3】結露防止のための
    防露性能を確保すること
  • 【4】暖房機器等による
    室内空気汚染を防止すること
  • 【5】防暑のための
    通気経路を確保すること
一次エネルギー
消費量の基準
暖房設備、冷房設備、機械換気設備、
照明設備、給湯設備、
その他(家電機器等)の
年間の設計一次エネルギー消費量から、
太陽光発電設備等の
エネルギー効率化設備による
設計一次エネルギー消費量の
削減量を差し引いた
設計一次エネルギー消費量が、
各設備
(その他(家電機器等)を除く)の
基準一次エネルギー消費量を合計した
数値に0.9を乗じて得た数値に、
その他(家電機器等)の
基準一次エネルギー消費量を加えた
数値以下であること
低炭素化に資する措置 低炭素化のための
措置9項目※2のうち
1項目に該当すること、
又は低炭素化に資する
建築物として
所管行政庁が認めるもの※4
再生可能
エネルギー
利用設備
住宅(一戸建て) 再生可能エネルギー利用設備が
もうけられていること 
かつ 
省エネ+創エネ(再エネ)の
合計が基準一次エネルギーの
50%以上であること
住宅(共同) 再生可能エネルギー利用設備が
設けられていること
住宅以外の
建築物
エネルギーの
使用の
合理化の
一層の推進
外壁、
窓等を通しての
熱の損失の防止
(外皮性能基準)
屋内周囲空間
(外壁から水平距離5m以内の空間、
屋根の真下の階の屋内空間、
外気に接する床の直上の屋内空間)の
年間熱負荷を
屋内周囲空間の面積で除し、
床面積の規模補正係数を
乗じて得た数値(PAL)が
建築物の用途ごとに
定められた
数値以下であること
一次エネルギー
消費量の基準※3
空気調和設備、
空調設備以外の換気設備、
照明設備、給湯設備、
昇降機、その他(事務機器等)の
年間の設計一次エネルギー消費量から、
太陽光発電設備等の
エネルギー効率化設備による
設計一次エネルギー消費量の
削減量を差し引いた
設計一次エネルギー消費量が、
各設備
(その他(事務機器等)を除く)の
基準一次エネルギー消費量を
合計した数値に0.9を乗じて得た数値に、
その他(事務機器等)の
基準一次エネルギー消費量を
加えた以下であること
低炭素化に資する措置 低炭素化のための
措置9項目※2のうち
1項目に該当すること、
又は低炭素化に資する
建築物として所管行政庁が
認めるもの※4
再生可能
エネルギー
利用設備
再生可能エネルギー利用設備が
設けられていること
  • ※1:重ね建て、連続住宅及び共同住宅を含みます。共用部の一次エネルギー消費量は、住宅以外の建築物の算出方法を用いることとされています。
  • ※2:低炭素のための措置9項目とは、【1】節水対策【2】雨水等の利用設備の設置 【3】ホームエネルギーマネジメントシステム又はビルエネルギーマネジメントシステムの設定【4】太陽光発電設備等の再生可能エネルギー利用設備及び定置型の蓄電池の設置【5】ヒートアイランド対策 【6】住宅性能評価の劣化対策等級3に該当【7】木造住宅・木造建築物 【8】高炉セメント等を構造耐力上主要な部分での使用【9】V2H充放電設備の設置(電気自動車に充電可能とする設備を含む の9項目をいいます。
  • ※3:共同住宅の共用部は、住宅以外の建築物の一次エネルギー消費量の基準が適用されます。外壁、窓等を通しての熱の損失の防止の基準は適用されません。
  • ※4:低炭素化に資する建築物として所管行政庁が認めるものの例として、CASBEEによる評価で一定以上のランクを取得しているもの等が想定されます。所管行政庁のホームページをご覧ください。

技術的審査の依頼に必要な書類

  • (1)技術的審査用提出図書は、認定申請の添付図書を標準としています。正副2部提出してください。希望により 副本を2部とすることができます。認定申請に必要な図書のほか、熱貫流率の審査や一次エネルギー消費量等の審査のため、規則で定める以外の図書も提出していただくようお願いします。なお、所管行政庁が、法律施行規則で定める図書の種類のほかに必要な添付書類を定めている場合は、その図書も添付して下さい。
  • ・低炭素建築物新築等計画に係る
    技術的審査依頼書

    (別記様式1号)(委任状を兼ねる)
  •  
  • ・都市の低炭素化の
    促進に関する法律施行規則
    第2条第1項で定める
    認定申請書
    (様式第五)
  • ※認定に係る委任状の
    様式は各所管行政庁にお尋ねください
  •  
  • ・都市の緑地の保全への配慮が
    必要な地域地区等に関する調査票
  •  
  • ・設計内容説明書 ※1
  •  
  • ・添付図書
  •  案内図、配置図、
    仕様書、各階平面図、
    立面図(4面)、
    断面図(2面)、
    矩計図、 基礎伏図
  •  
  • ・各種計算書 ※2
  •  皮熱貫流率計算書、
    平均日射熱取得率計算書
  •  外皮計算プログラム例
    (一般社団法人 住宅性能評価・表示協会)
  •  一次エネルギー消費量計算書
    (WEBプログラム出力結果)
  •  平成28年省エネルギー基準に
    準拠したプログラム
  •  上記プログラムは
    建築物のエネルギー消費性能に
    関する技術情報

    にございます。
  • (算定用WEBプログラム入力シート
    及び
    一次エネルギー消費量計算結果
    並びに
    計算用WEBプログラム入力データを含む)
  •  
  • ・設備機器に関する図書 ※2
  • (低炭素化に資する各設備の機器表、
    系統図、
    機器の仕様性能等が
    確認できるカタログ等の写し)
  •  
  • ・再生エネルギー利用設備に関する図書
  • (再生可能エネルギー利用設備が
    設けられていることが
    確認できるカタログ等の写し。
  • ※住宅(一戸建て)においては、
    省エネ量+創エネ量(再エネ)の合計が
    基準一次エネルギーの
    50%以上
    (家電等
    その他一次エネルギー消費量は除く)
    であることが
    確認できる書類等
  •  
  • ・その他低炭素の措置に関する書類、
    断熱材・窓等の省エネ性能等が
    確認できるカタログ等の写し、
    その他審査に必要な書類
※1:建築物の種類及び申請の区分により様式が異なります。
※2:添付図書に特に明示する事項
・非住宅を含む建築物の場合は、一次エネルギー消費量計算書にWEB プログラムの一次エネルギー消費量算定入力シートを添付してください。
・設備の機器表には、種別、仕様、構造、台数及び性能等を記入してください。

 
  • (2)増築、改築、修繕、模様替え、空気調和設備等の設置又は改修の申請の場合は、 技術的審査用提出図書に増築、改築、修繕、模様替え、空気調和設備等の設置又は改修の部分を明示してください。
 
  • (3)計画の変更に係る技術的審査の依頼の場合は、次の各号(当センターにおいて直前の技術的審査を行っている場合にあっては、[3]を除く)に掲げる図書を正本、副本各1部提出してください(希望により副本2部とすることができます)。
  • 1. 
    別記様式3号の低炭素建築物新築等計画の
    変更に係る技術的審査依頼書
  • 2. 
    技術的審査添付図書等のうち
    変更に係るもの
  • 3. 
    直前の技術的審査の結果が記載された
    適合証又はその写し
 
  • (4)認定申請に必要とされる図書及びその図書に明示すべき事項は規則で定められていますが、記載すべき事項が他の図書に記載されている場合は、当該図書を添付する必要はありません。

一次エネルギー消費量算定プログラム

 基準一次エネルギー消費量及び設計一次エネルギー消費量等を算定し、算定結果をPDFファイルで出力するツールが開発されています。 このプログラムは、インターネット上で利用するもので、国立研究開発法人建築研究所のホームページに掲載されています。

認定申請時期

  • (1)認定申請は、建築物の工事着手前に、規則で定められている申請書及び添付図書(正本・副本)を所管行政庁に提出しなければなりません。認定申請受付後に工事着手できますが、認定申請の新築等計画が認定基準に適合しない場合は、認定を受けることができません。認定後に工事着手することが望ましいといえます。
  • (2)建築物全体の認定による容積率緩和を受けようとする場合は、確認済証の交付前に認定されることが必要です。

計画の変更の手続き

  • (1)適合証の交付前までに計画を変更する場合は、審査員と速やかに相談のうえ、変更部分の技術的審査関係図書の修正又は差替えをしてください。ただし、計画の変更が大幅であり、変更後の審査に時間を要すると認める場合にあっては、取り下げ届を提出し、別件として改めて技術的審査を依頼していただきます。
  • (2)適合証の交付後に計画を変更する場合は、所管行政庁(所管行政庁への認定申請前は除く。)及び当センターの審査員に、変更の内容及び必要な手続きについて相談してください。
  • (3)(2)の相談の結果、変更に係る技術的審査の依頼をする必要がある場合は、変更に係る技術的審査の依頼をしてください。
  • (4)変更の内容が、住宅の品質又は性能を向上される場合若しくはその他の変更で、変更後の認定に係る低炭素建築物新築等計画が法54条第1項各号に掲げる基準に適合することが 明らかな軽微な変更と認められ、建築基準法に基づく建築確認が不要である軽微な変更に該当する場合は、センターに技術的審査変更報告書に、 変更に係る技術的審査添付図書等及び変更の内容を示す図書を添えて正副2部(副本を2部とすることは可)提出することができます。

相談窓口

 当センターの相談窓口:評価審査課  TEL 052-264-4052(ダイヤルイン)
 FAX 052-264-4088
認定制度、認定基準、認定申請手続き、Q&A、税の特例などの詳しい内容、次のサイトをご覧ください。
(※愛知県以外は各所管行政庁のHPをご覧下さい。)

お問い合わせ先はこちら

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