「長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準」の改正(平成28年2月8日国土交通省告示第293号)により、既存住宅の増築又は改築に係る認定基準(増改築)が定められ、平成28年4月1日から既存住宅の増改築の認定制度が開始されました。
認定手続きと認定基準(増改築基準)
(1)認定対象住宅
①増改築は、耐震改修、断熱改修、内窓の設置など、建築基準法上の増改築に当たらないものも含みます。増改築の認定申請を行う場合、耐震改修工事や断熱改修工事など長期使用構造等とし、増改築基準に適合する計画とする必要があるため、増改築工事を全く含まない場合や長期使用構造等と関係ない工事のみの場合は、認定申請できません。
次に掲げる工事のみの場合などは、認定対象住宅とみなされません。
次に掲げる工事のみの場合などは、認定対象住宅とみなされません。
- 劣化した部材の補修
- 故障した設備機器の補修
- 間取りの変更(一次エネルギー消費量等級の評価に考慮できる場合は該当)
- キッチン、洗面、トイレ設備の設置・交換(一次エネルギー消費量等級の評価に考慮できる場合は該当)
- 専用部のバリアフリー改修
- 屋根・外壁の塗装、防水工事
②新築時に長期優良住宅の認定を受けている住宅は、増改築の際には新築住宅としての変更申請を行うことになり、新築住宅の認定基準が適用されます。長期優良住宅(増改築)の認定申請はできません。
一戸の住宅として機能しない「離れ」の場合、母屋が新築時に認定されている場合は、変更手続きが必要で、「離れ」も新築住宅の基準への適合が必要となります。母屋が新築時に認定されていない場合は、長期優良住宅(増改築)の認定申請をすることができます。この場合、母屋も増改築基準の適用が必要です。
一戸の住宅として機能しない「離れ」の場合、母屋が新築時に認定されている場合は、変更手続きが必要で、「離れ」も新築住宅の基準への適合が必要となります。母屋が新築時に認定されていない場合は、長期優良住宅(増改築)の認定申請をすることができます。この場合、母屋も増改築基準の適用が必要です。
(2)認定手続きの流れ
新築の場合の認定手続きと同様です。増改築工事の着手までに申請する必要があります。
(3)増改築基準
長期優良住宅(新築)と長期優良住宅(増改築)は適用される基準が異なりますので、注意してください。増改築基準は、増改築後の住宅全体に適用されます。
①住宅の構造及び設備が長期使用構造等であること
③居住環境への配慮 新築住宅と同じ
④維持保全の方法 新築住宅とほぼ同様ですが、次の相違点に注意してください
①住宅の構造及び設備が長期使用構造等であること
リフォームでの対応が困難又は合理的でない場合も十分予想され、新築住宅並みの基準の適用を求めることは過度の負担となることを考慮して、増改築基準が定められています。
②住宅の規模 新築住宅と同じ(増改築後の面積)③居住環境への配慮 新築住宅と同じ
④維持保全の方法 新築住宅とほぼ同様ですが、次の相違点に注意してください
・維持保全計画の起点日は増改築時とする。
・現況検査で判明した劣化事象は、原則として増改築時に修繕する必要がある。ただし、構造躯体等に大きな影響を及ぼさないと判断される劣化事象で増改築時に修繕できない場合は、維持保全計画に修繕する時期を記載する。
・基準に適合しない構造躯体に埋設された専用排水管は、増改築時に改善できない場合、将来的に適合することを条件として耐用年数を考慮した更新時期を維持保全計画に記載する。
・劣化対策の基準において、防湿コンクリート打設、地盤から基礎又は土台までの高さ、床下防湿措置及び小屋裏換気について、新築住宅と異なる基準を適用する場合は、仕様に応じた点検間隔を記載する。
⑤維持保全期間 増改築が完了した時点から30年以上長期使用構造等確認(増改築)に必要な書類
(1)状況調査書
増改築の場合は、申請前に目視等による現況検査を行い、その劣化状況を記録した「状況調査書」を認定申請図書として提出する必要があります。状況調査書の作成は、原則として、インスペクションの技能を有する建築士が行うものとされています。
検査により判明した劣化事象(増改築時に判明したものを含む)は、原則として増改築時に修繕をする必要があります。ただし、構造躯体等に大きな影響を及ぼさないと判断される劣化事象については、維持保全計画に修繕する時期を記載することが必要です。
検査により判明した劣化事象(増改築時に判明したものを含む)は、原則として増改築時に修繕をする必要があります。ただし、構造躯体等に大きな影響を及ぼさないと判断される劣化事象については、維持保全計画に修繕する時期を記載することが必要です。
(2)一次エネルギー消費量等級4を適用する場合の必要書類
増改築基準の省エネルギー対策では、①断熱等性能等級4、②断熱等性能等級3かつ一次エネルギー消費量等級4のいずれかを満たすこととなっています。②を選択された場合は、次の図書に一次エネルギー消費量等級の審査に必要な事項を明示するとともに、必要に応じ、「用途別面積表」、並びに、設備の種類、位置、仕様、数及び制御方式を明示した「機器表」も添付してください。
設計図書等の書類 | 明示すべき事項 | |
8 | 配置図 | 配置図 空気調和設備及び その他の エネルギー消費 性能の向上に 資する建築設備の位置 |
9 | 仕様書 (仕上げ表を 含む) |
エネルギー消費性能の 向上に資する 建築設備の種別 |
12 | 立面図(2面以上) | エネルギー消費性能の 向上に資する 建築設備の位置 |
(3)耐震診断を行う場合の必要書類
耐震性の基準の適合に、住宅に適用できる耐震診断法を使用する場合は、耐震診断計算書を提出してください。
増改築の認定を受けた長期優良住宅建築等計画の変更
新築住宅の場合と同じ取扱いになります。